生活習慣病・がん予防対策
いつまでも健康でいるために、生活習慣病を予防しよう!
食事や運動、ストレス、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に深く関与する病気を総称して生活習慣病といいます。主な生活習慣病には、糖尿病や脂質異常症、肥満、心臓病、脳卒中などがあります。かつては成人病と呼ばれていましたが、悪い生活習慣が蓄積されることによって起こることがわかったため、1996年に厚生省が「生活習慣病」と改称しました。
日本人の死亡原因は、がんや脳卒中や虚血性心疾患(心筋梗塞など)の循環器病の割合が多くなっています。そのほとんどは生活習慣に起因する生活習慣病です。糖尿病や高血圧症、脂質異常症などを放置しておくと、動脈硬化が急速に進み、循環器病やその他重症の合併症に進展するおそれがあります。また65才以上の要介護の原因にもなっています。そのような状態にならないために、若いうちから生活習慣病の予防が大切になります。
不規則な生活習慣
- 不適切な食生活
- 運動不足
- ストレス過剰
- 喫煙
- 適度の飲酒
など
病気になる手前(予備群)
- 肥満
- 高血糖
- 高血圧
- 脂質異常
など
生活習慣病
- メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)としての肥満症
- 糖尿病
- 高血圧症
- 脂質異常症
など
重症化・合併症
- 虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞)
- 糖尿病の合併症(失明・人口透析)
など
生活機能の低下
要介護状態
- 半身まひ
- 日常生活における支障
- 認知症
など
生活習慣病を予防するためのポイント
生活習慣病の予防は、毎日の生活習慣(運動習慣や食生活、疲労、喫煙、飲酒など)を見直すことから始まります。各項目に注意して、生活習慣を見直しましょう。
1.適正体重を維持しましょう
適正体重を量る数値にBMIがあります。BMIとは体重と身長の関係から算出した、人の肥満度を表す指数です。BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}(18.5以上~25未満が普通体重)
2.脂肪の摂りすぎには注意を
生命活動のエネルギーとなる脂肪ですが、摂りすぎは肥満の原因となり、体に悪影響を及ぼすことがあります。摂りすぎには注意しましょう。
3.食物繊維をたくさん摂りましょう
腸内環境を整える食物繊維は、男性で1日19g以上、女性で1日17g以上摂取するとよいとされています。主に野菜に多く含まれると思われがちですが、のりやひじきなどの海藻やきなこといった豆類にも多く含まれています。
4.規則正しく、1日3食食べましょう
食事の回数を減らしたり、間隔が空きすぎると、脂肪をためやすい体質になり、太りやすい体になります。規則正しい食生活を心がけましょう。
5.普段から歩くことを意識しましょう
日常生活の中で積極的に体を動かしましょう。
日常生活の歩数の目標
- 男性 9,200歩以上/日(70歳以上の高齢者 6,700歩以上/日)
- 女性 8,300歩以上/日(70歳以上の高齢者 5,900歩以上/日)
6.運動する習慣をつけましょう
「週に1時間、汗ばむ程度の運動をすれば生活習慣病を予防できる」とも言われています。休日に公園で遊んだり、通勤以外のウォーキングに出かけたり、簡単な運動を習慣づけましょう。
7.毎日しっかり眠りましょう
しっかりと睡眠をとることは、一日のリセットになります。睡眠が不足すると、疲労が抜けなかったり、精神的に不安定になりがちです。しっかりと睡眠時間を確保することが大切です。
8.喫煙者はまず禁煙!
喫煙はがんの原因になるだけでなく、喫煙中は毛細血管が収縮して血流が悪化し、手足が冷えがちになります。血圧も高くなり、心臓に負担がかかることになります。また、肺の機能に大きな影響を与え、全身に酸素が送られにくくなり、ちょっと動いただけでも息切れするようになり、日常生活に大きな影響を与えるようになります。
9.お酒はほどほどにとどめましょう
アルコールは百薬の長とも言われますが、飲みすぎは害のもとです。適度な飲酒量は、1日あたり純アルコールで約20g程度と言われています。週に2日程度は休肝日をつくり、肝臓の負担を減らしましょう。
10.毎食後の歯磨き、定期的な歯医者でのメンテナンスを受けましょう
近年、口腔の健康が全身に影響することがわかってきています。歯周病は、食生活や喫煙、歯磨き習慣などと深い関係があり、ほかの生活習慣病の原因になるといわれています。歯周病を防ぐにはまず生活習慣の改善が必要です。毎日の正しい歯磨きのほかに、定期的に歯医者で歯石を除去してもらうことも必要です。
がんは日本人の死亡率NO.1。予防が大事!
日本では死亡原因の第1位である「悪性新生物=がん」です。がんは、細胞の病気です。それらの細胞は常に様々な傷を受けています。傷を受けると、速やかに修復しようとしますが、細胞に何らかの遺伝子の異常が起こり、細胞が増殖を繰り返し、止まらなくなってしまうことがあります。このうち、近くの組織に侵入したり、離れた臓器に転移して増殖し、生命を脅かすものが「がん」です。
これまでの研究から、がんの原因の多くはたばこや飲酒、食事などの日常の生活習慣に関わることが多いことがわかっています。国立がん研究センターの研究では、日本人のがん予防には5つの生活習慣を見直すことでリスクを低減できる、との報告があります。がんの発生を防ぐために、規則正しい生活習慣・食生活に気をつけて、体を健康にしておくことが一番の方策と言えます。
がんを予防する5つの生活習慣
1.禁煙する
たばこは肺がんをはじめ食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんなど多くのがんに関連することが示されています。たばこを吸う人は吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まることもわかっています。また、受動喫煙でも肺がん(特に腺がんタイプ)や乳がんのリスクは高くなります。禁煙はがん予防に効果的な、確実な方法といえます。
2.節酒する
多量の飲酒でがんのリスクが高くなることが、日本人男性を対象とした研究で報告されています。特に飲酒は食道がん、大腸がんと強い関連があり、女性では男性ほどはっきりしないものの、乳がんのリスクが高くなることが示されています。女性のほうが男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。
3.食生活を見直す
「塩分のとりすぎ」「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、がんの原因になるということが明らかになっています。
-
減塩する
塩分を抑えることで、胃がんの予防、高血圧、循環器疾患のリスクの低下にもつながります。 -
野菜と果物をとる
野菜と果物を摂取することで、脳卒中や心筋梗塞などの生活習慣病の予防にもつながります。 -
熱い飲み物や食べ物は冷ましてから
飲み物や食べ物を熱いままとると、食道がんと食道炎のリスクが高くなります。口の中や食道の粘膜を傷つけないようにしましょう。
4.身体を動かす
仕事や運動などで、身体を動かしている人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。身体を動かしている人は、心疾患のリスクも低くなり、生活習慣病のリスクが低くなります。
5.適正体重を維持する
男女とも、適正な体重が脂肪リスク低下に繋がることが指摘されています。太りすぎても痩せすぎても健康とはいえません。適正体重を維持するようにしましょう。
増加する乳がん
乳がんは、世界中でかかる人が多いがんです。日本では、2015年の死亡部位別では全体の5位、2013年の罹患数では1位となっています。40歳代がもっとも多いですが、5年相対生存率(がんと診断されて治療を受け、5年後に生存している割合は90%を超えており、早期発見であれば治療できるがんです。毎年、きちんとした検査を受けることが大切です。
特に乳がんにかかりやすい30代~40代の方は、毎年健診を受けましょう。乳がんは何度でもかかる可能性があります。定期健診に通って、乳がんの早期発見・早期治療を心がけましょう。